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今回のスラバヤ滞在の経緯

  • 執筆者の写真: さつき 今井
    さつき 今井
  • 2025年3月12日
  • 読了時間: 6分

今回の旅のはじまり

2024年11月から、私はインドネシア・スラバヤに行くことになった。

インドネシアにはこれまでジャカルタ、ジョグジャカルタ、スラカルタ、パチタンを訪れたことはあったがスラバヤは今回が初めてだった。

渡航の理由は2025年にインドネシアで開催される、東ジャワビエンナーレに参加できることなり、それに向けてのリサーチを行う予定となったからだ。


そもそもビエンナーレ自体には何がきっかけで参加することになったかというと、2022年にドイツ・カッセルで開催されたドクメンタ15の会期中に出会った日本人の学芸員の羽鳥悠樹さんからの紹介だった。彼はインドネシア近代美術史を専門にしている研究者で、インドネシアへの造詣があり、多くの友人がいる。

今回は私以外にも2人の日本人アーティストである坂崎隆一さんと寺江圭一朗さんが参加している。そしてそれぞれがスラバヤ市内、郊外にあるコレクティブや様々なアクティビティを行う団体にお世話になって、リサーチを行っている。

オーガナイズしてくれるのは、東ジャワビエンナーレの運営チーム

その他、運営とのミーティングや相談などは羽鳥さんにも助けていただいている。



どんなことに取り組もうとしているのか

話をいただいた頃に感じていたこと

今回の話を羽鳥さんからいただいた時、海外でのビエンナーレの正式な参加経験がない私にとって、本当にいい経験になるだろうことは間違いないと思った。

話をいただいた頃、私は日本でいくつか作品の発表や搬入を終えた後だった。自分の代表する作品を数点発表できる機会に恵まれて充実する中で、ふと疑問を持っていた。

「自分の作品は、いつも人を巻き込めるくらい大きなサイズで制作している。その分輸送や制作のコストもかかる。(もちろんその分いい部分もたくさんある) でも自分がやりたいことは、「遊び場を作って関わる人が友達になるきっかけを作る場を生み出すこと」

それに必ずしも大きいものである必要があるのだろうか、と。


自作「はじまりのだいち」(2017)
自作「はじまりのだいち」(2017)

子供の頃、確かに滑り台やジャングルジムといった大きな遊具は子供達の交流のきっかけだった。でも、けんけんぱや縄跳び、ボール遊びといったプリミティブ(原始的)なものを使ってもそれを叶えることができていたのではないか。


遊び場にある遊び、どう人は遊び場や遊びで交流するのか、友達になれるのか。私はインドネシア語をあいさつ程度しか話せないので、言葉以外のコミュニケーションで子供たちや現地の人たちと友達になる方法を模索できるのではないか。

そういう考えを羽鳥さんや東ジャワビエンナーレのメンバーに共有したら、一つの団体 Kampung Lali Gadget(通称:KLG)を紹介してくれた。そこは子供たちと昔ながらの遊びを実践する場所だそうだ。


私も2週間KLG周辺に滞在させてもらいながら、アクティビティに参加させてもらえるとのことで、自分にとっても今までとは違う新しいチャレンジになりそうだ。


滞在体験の残し方やアウトプット

滞在先で見る遊びは、日本にもある遊びと同じ感覚を味わうかもしれないし、はじめての体験もあるかもしれない。そこは全く未知な部分で、彼らのSNSを少し見ながら想像を膨らませている。

アウトプットは、まだどんな形にするかは決めていないけれど、滞在中には滞在日記や写真、映像、遊び方のメモなどを残しながら、その土地にある遊びを集めていきたい。

とにかく沢山アクティビティに参加して、子どもや大人と遊びたい。


そもそもなぜ、遊びや遊び場なのか

幼少期から今までの私と遊びと作品

「はじめまして」でも少し書いたが、私は幼少期から3つ上の兄の友人が自宅に遊びに来て、大人数でテレビゲームで遊ぶ姿を見て育った。「ゲームや遊びは人をつなぐことができたり、主人公になって世界を変える体験を作ることができたりするんだ。そういう体験を生み出す人になりたい」と漠然と思っていた。

その後大学でテレビゲーム制作の企画を学び、美術大学の大学院を経て、2022年度に東京藝術大学の博士課程(美術)を修了した。14年という長すぎる大学生活の中で《人間ノリ巻き》《はじまりのだいち》など、人々が参加することで個々の作品が出来上がったり、作品自体がアップデートされたり、交流ができるような作品を作ってきた。いつも大切にしているのは、参加した人が参加した前より楽しい気分になって、作者やそこに居合わせた他の体験者と笑顔で交流できること

文化が異なると、少しのボタンのかけ違いで大きな分断を生んでしまうと2020年代に入りより強く思うようになった。世界には戦争はなくならず、移民政策の分断や互いの歩み寄りが難しい部分もある。でも遊びは、上司や部下、敵対相手いう人々の持つステータスを一旦置いて、同じルールの舞台や土俵に上がる方法の一つでもあると考えている。そう簡単にはいかないけど、そう取り組むことに意味はあると思っている。


博士時の研究のアップデート

博士時の研究内容は「PLAY GROUND〜鑑賞者参加型作品における作品と鑑賞者と作者の創造的な関係性〜」というもので、これまで自作《人間ノリ巻き》を体験してもらうことで起きる人々と作者である私との交流や、体験したもの同士の交流といった新たに場や関係性が生まれる創造的な関係性を紐解き、何によって構成されているかを分析、仮説からの実制作、検証を行った。詳しくはこちらへ。


修了後の研究

修了後、研究はあまりアップデートされていなかった。ただ、私自身の表現媒体が空間の企画などに拡張したりする中で、この研究をアップデートする必要性があるのではないかと考えるようになった。

今までの自研究は、

・鑑賞者(参加者)

・作者

・オブジェクト(作品内の立体物)

の3つからなり、それらの相互作用によって創造的な関係性が生まれていると定義していた。


その3つが、

①作者が参加する

②作品を一緒に体験する

③体験を結実させる という時間軸の中で相互作用を起こしながらPLAY GROUNDという創造的な関係性を作り出していく。



これまではオブジェクトが人を巻き込むことで、鑑賞者に包まれる触感を味わってもらっていたが、今回はよりシンプルな作りになる想定なので、その部分が一番異なる。

体験の結実の仕方もまだ見えていない。



でも作者が遊び場に使うオブジェクトを作るのは変わらず継続しそうな気がしている。

何か今までよりシンプルなもの(持ち運べたり、可変できるような)を作って、皆を招待できる遊び場を、東ジャワビエンナーレで発表したい。

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©️Satsuki IMAI

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